長浜で農業を営むみかん農家の津田俊太朗さん、キウイ農家の西村充さん。お二人は「誇れる長浜を次世代へ」をキャッチフレーズに、長浜未来協議会「MIRAI’Z(ミライズ)」の中心メンバーとして活動しています。大洲カンパニー農業部果物課に所属するお二人にお話を聞きました。
ーーMIRAI’Zではどのような活動をしていますか?
(津田)長浜では農業従事者が年々減っており、後継者がいない「耕作放棄地」が急増しています。そういった畑は放っておくと荒地になってしまうので、MIRAI’Zのメンバーで耕作放棄地を積極的に引き継ぎ、どう活用していくかを考えています。そうやって次の世代に長浜の畑を継承することが僕たちの活動目的です。
ーー耕作放棄地を活用しようと考えたきっかけは?
(西村)MIRAI’Zのメンバーの中で、これから耕作放棄地がどんどん増えていくという共通の認識はあったんです。その課題にスピード感を持って具体的なアクションを取りたかったので、知り合いの農家さんを通じて耕作放棄地を譲り受けて整備・活用しました。そうすることでゆくゆくは後継者が見つかるかもしれないし、長浜の農業もいい方向に進んでいくと思うんです。今では「ここの耕作放棄地の持ち主を知っているから紹介するよ」という声もいただくようになり、少しずつ活動が実を結んできているのを実感します。
ーー長浜の農作物を使ってイベントや商品開発なども行っていますね。
(津田)ほとんどのメンバーが農業に従事しているので、自分たちでジュースなどの加工品をつくって、マルシェやイベントなどで出店するなど、長浜の農業をアピールする活動もしています。長浜の農作物を手に取ってもらい、生産者を認知してもらう機会を増やすことで各農園のファン作りにつなげています。
ーー今では様々なメンバーがMIRAI’Zに参加していますね。
(西村)サポートしてくださる方を含めたら20人くらいになりました。農家だけではなく、食品関係の方やデザイナー、カメラマンなど、様々な方にサポートいただいています。組織として自走するためにはいろんな業種の方がMIRAI’Zに加わってもらえるのが理想です。
ーーお二人が農家になった経緯は?
(津田)僕は長浜のみかん農家の家に生まれ育ちました。大洲でサラリーマンをしていたのですが、祖父が体を壊したため、勤めていた会社をやめて家業を継ぎました。体を動かして働くのが向いていたのか、想像以上に農仕事が楽しいです。
(西村)私の実家も長浜のキウイ農家です。大阪でメーカーの仕事をしていたのですが、転勤や出張が多く、もう少し家族との時間を増やしたいと考えていました。また、実家のキウイ園も後継者がおらず、規模を縮小したということもあり、34歳のときに長浜に帰ってきてキウイ農家を継ぎました。就農してからは家族との時間も増え、仕事もプライベートも充実した時間を過ごせています。
ーー西村さんは珍しいフルーツの栽培も始めたとお聞きしました。
(西村)幻のフルーツと呼ばれている「ポポー」を育てています。味はマンゴーやバナナに近く、実は長浜が一大産地なんです。去年ポポーの畑を近所の方から譲り受けたのですが、食べてみたところその味に感動しました。特にアイスと一緒に食べると絶品なのですが美味しく食べられる期間がとても短く、流通がなかなか難しいんです。ただどうしてもこの味を皆さんに届けたくて、冷凍保存したポポーを使ってカフェとコラボメニューを出したりしています。
ーーMIRAI’Zでは収穫体験も行っていますね。
(津田)収穫体験は一番分かりやすい「ファンづくり」だと思っています。収穫体験に来てもらうことでその人の思い出になり、数年後に「あの時の長浜のみかんはおいしかったよね」「せっかくなら長浜のみかんを買おうか」と思い出してくれたらうれしいですね。また、収穫体験は自分たちの勉強にもなっているんです。普段農業をやっていない方と話すと自分とは違う視点を知ることができ、新鮮な学びになります。そういった刺激を受けると収穫体験をやってよかったなと感じますし、もっとおもしろいことをやりたいという前向きな気持ちになります。
ーー大洲カンパニーではどんな体験を繰り広げていくのでしょう?
(西村)収穫体験をはじめ、いろんな体験を企画したいです。耕作放棄地を一緒に耕してもいいし苗を植えてもいいし。MIRAI’Zの取り組みを通して長浜のファンを少しでも増やすことができればうれしいです。
津田俊太朗
1987年愛媛県大洲市生まれ。サラリーマンを経て2017年に実家のみかん農家へ就農。長浜未来協議会の会長を務める。大洲カンパニー農業部果物課
西村充
1985年愛媛県大洲市生まれ。メーカー勤務を経て2020年に実家のキウイ農家へ就農。長浜未来協議会の副会長を務める。大洲カンパニー農業部果物課
大洲で活躍するひとへインタビューしました。