杉井太一大洲市地域おこし協力隊、カヌー競技選手

身近に川がある。大洲の利を最高に活かす人

大洲にたくさんの恩恵をもたらしてくれる肱(ひじ)川。子どもの頃から親しみ、カヌー選手としても活躍する杉井太一さんはいま、肱川を活かしたまちづくりに尽力しています。大洲カンパニー肱川部ウインドサーフィン課の杉井さんに話を聞きました。

これまでにない川の活かし方を考える。

ーー肱川を活かしたまちづくりとは、例えばどんな取り組みですか?

週末、街中の川辺でパラソルやいす、ハンモックなどを並べてだれでも自由にくつろげる空間をつくっています。「おおず・プラージュ」というプロジェクト名で2023年に立ちあげました。

僕の活動の中で、一番大きいものは5月の最終日曜に開く「肱川かわびらき」です。これも2023年にスタートしたイベントで、誰もがSUP(サップ)やカヌーを体験できたり、肱川名物「屋形船」に乗船できたりと、とにかく肱川を楽しむ1日です。船の文化が栄えていた大洲は今も、屋形船や鵜飼が営まれているんです。

8月から10月の週末、「肱南かわみなと」と呼ばれるエリアにパラソルを並べる

ーーまちの人が川に触れられるいろんな仕掛けをされているのですね。

大洲の人たちに肱川の魅力がもっと伝われば、と願いながら活動しています。肱川に足を運ぶきっかけにつながるとうれしいですね。僕も毎日、肱川に触れています。カヌーをこいだり、鵜飼の船頭をしたり。ついに遊漁権も買ったので、川の遊び方に魚釣りも加わりました。夕方、川辺で協力隊の仲間とお酒を飲むこともあります。

ーー取材中のいまもカヌーを漕いでいる人たちがいます。

僕の後輩で、国体チームのメンバーです。時々、ここで大洲高校カヌー部や国体チーム「大洲カヌークラブ」の練習に参加しています。街中なのにカヌーの練習ができて、仲間と一緒にカヌーを漕げる環境がとにかく最高です!大洲にとって当たり前でも、この環境は本当に特別なものなのです。

僕は、肱川から歩いて10分ほどのところで生まれ育ちました。物心ついた時から水が大好きで、川でもよく遊んでいました。ただ、川と人と暮らしの近さに気づいたのは、大学で大洲を離れ、4年後に帰ってきてからでした。

取材中、「大洲カヌークラブ」のメンバーが練習をしていた

カヌー選手になって、肱川とグッと近くなる。

ーーカヌーを始めたきっかけは?

中学生になると同時に始めました。入学の年に「大洲カヌークラブ」ができたんです。2017年の「愛媛国体」(現在の「国スポ」)で、カヌー競技が大洲市で開かれることが決まっていたので、地元でも選手を育てようとできたチームでした。カヌーというスポーツを知っていた僕は「やりたい!」と自ら希望してクラブに入りました。カヌーの楽しさも練習の苦しさも味わいながら5年分の練習を重ね、高校3年で出場した愛媛国体で5位に入賞しました。

ーーカヌーを初めて体験した時に感じたことは?

「自由だな」と感じました。道が決まってないし決まりがない。川は、安全に気をつければ何でもできる“大きな遊び場”という感覚がずっとありました。水泳もしていたのですが、泳ぐのとはまったく別もので、水を切り裂いて進んでいく感覚が唯一無二です。その感覚は今でも変わらないですね。

大洲・長浜でウインドサーフィンを広めていく。

ーー大洲カンパニーではウインドサーフィン課に所属しています。

肱川の河口部あたりの長浜エリアではウインドサーフィンができるんです。大阪から大洲に戻ってから、長浜エリアは日本トップのスピードを出せるゲレンデだということを知って驚きました。

ーーウインドサーフィンもされるのですね。

大学で写真を専攻していたのですが、卒業したら水に関する仕事がしたいと考えていました。仕事は楽しみながらやりたいと思っていたし、水に触れる楽しさが体と記憶に染みついていたからです。就職活動中、たまたま鎌倉のウインドサーフィンショップにいきつきました。実際にやってみるとその魅力にハマってしまって。

ーー杉井さんが感じたウインドサーフィンの魅力とは?

カヌーはパドルを使って自分の力で水の上を進みますが、ウインドサーフィンは風という自然そのものを利用して水の上を走ります。自分の体から生み出すエネルギーと自然のエネルギーでは比べ物にならないくらいの差があります。その大きな差に衝撃と魅力を感じました。

ーーウインドサーフィン課ではどんなことを?

長浜が、レベルの高いウィンドサーフィンができるということを大洲の方にも知ってほしい。ただ、長浜の自然現象「肱川あらし」の中でウインドサーフィンをするのは初心者にとって過酷です。今後、ビギナーも楽しめるような、夏の穏やかな日などに体験できる機会をつくりたいと考えています。その時は、大学時代に培った写真の技術も活かして、体験しているみなさんの様子を撮影してみたいですね。

強風が吹く「肱川あらし」の中でウインドサーフィンにトライする人たち(青野祠瑠さん撮影)

ーー水のスポーツを通して感じてほしいことは?

とにかく自然のパワーを感じてほしいです。川も海も風もすごいエネルギーがあるんです。僕はそれを利用させてもらっています。スポーツを通して、自然を制御するのではなくうまく共存していく方法を考えていくことにつながるとステキです。

ーー大洲カンパニーに期待することは。

川に興味がある人もない人もゆるやかにつながりができればいいですね。肱川のまちづくりを一緒にできる仲間もできたらうれしいです!それに僕自身、川だけではなく大洲の古い町並みにも出かけるし山にも遊びに行きます。大洲カンパニーを通じて僕もいろんな人たちとつながっていけたらいいな。

ーー肱川を活かしたまちづくり、目標はありますか?

「おおず・プラージュ」に並べるパラソルの数が倍になるとか、僕の活動に仲間ができるとか小さなゴールはたくさんありますが、明確なゴールはないです。きっとゴールを設けたらそこで終わってしまうと思うので。川が絶え間なく流れ続けるように僕も小さくても絶えず、活動を続けていきたいです。

杉井太一大洲市地域おこし協力隊、カヌー競技選手

2000年大洲市生まれ。大阪芸術大学で写真を学び、卒業年の2022年、地域おこし協力隊として大洲に帰郷。肱川を活かしたまちづくりに取り組む。現役のカヌー選手。写真撮影も続けている。大洲カンパニー肱川部ウィンドサーフィン課。

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